戦国武将が兜に託した思いは実は深い! 五月人形を選ぶ際に参考に!
戦闘において、体を守る重要な役割を果たすのが甲冑です。
とくに人の体の一番大切な頭部を守る兜は、製法・形・機能などさまざまな種類があります。
また、戦国武将たちのの兜が担うのは、単に武具としての役割だけではありません。
今回は戦国武将の兜に込められた意味について書いていきたいと思います。
五月人形でも、最近は戦国武将ブームだそうで、これからご購入予定の方も必見です!
防御以外の兜の役割
目立つことが目的
天下を狙う武将の場合、自分のステータス、威厳、威光を見せつけるために、まるで競い合うかのようにバラエティーに富んだ兜を身に付けました。
「すごい、強そう!」と思われるような兜をかぶることで、味方からは尊敬と憧憬を浴び、その士気を高めます。
また、敵には威嚇と恐怖を与え、心理的に戦況を有利に運びます。
兵士の場合はそこにもう一つ思惑が加わります。
人は向かい合った人同士、一番先にまず目の行くところは顔だと思います。大勢の人の中から知っている人を見るける時も、わたしたちは、服や体形、髪型などよりも「顔」で判断しますよね。
戦国の世では、「首実験」なんていう物騒な行為もありますから、その点をみてもやはり顔だと思います。
でも、戦闘中はたくさんの人が入り乱れているし、いちいちじっくり顔を見ている訳にも行きません。
となると、やっぱり個性的な兜を身に着けている方が断然目立ちます。
目立つことで、敵に標的にされるというデメリットよりも、馬上から大局を見ているはずの大将の目に止まり功績を評価してもらえる、覚えもめでたくなる、というメリットの方が大きかったハズです。
信仰やげん担ぎ
兜には、「立物」と呼ばれる装飾部分があります。前立、脇立、後立、など付ける位置で名称は変わります。
一番目立つ部分ですが、そこには武将自身が信仰している神仏を表す梵字や記号、経文などを象って付けた物も多くあります。
また、その生態に意味を求めた、動物や生き物をモチーフとした立物や、植物や自然現象を象った立物など、多種多様です。
ただ一つの「勝利」というゴールに向かって、武将それぞれの方法でアプローチしていったのですね。
忠誠心・友情・信頼の証
武士の世界に「忠義」というものが求められ体系付けられたのは、江戸時代に入ってから。
戦国時代は、「主は自分で選ぶ」というある意味自由度の高い時代でもありました。
戦国武将の中には、下賜されたもの、交換したもの、代々その家で伝わっているものなどの兜を使用している武将もいます。
そこには、今日の味方が明日には敵になるかもしれないという猜疑、腹の探り合い、心理戦や裏切り、寝返りと下克上のまかり通る戦国乱世において、信じるに足る忠誠心や友好関係を表すアイテムとしての役割も兜にはあったのです。
五月人形、最近のブームは戦国武将風
博物館や資料館などに行かない限り、なかなか戦国時代の甲冑を私たちが見る機会はありません。
でも、一年に一度、デパートなどの展示場に甲冑がずらりと並ぶシーズンがあります。
五月五日のこどもの日、男の子の健やかな成長を願う「端午の節句」のシーズンがそれです。
鯉のぼりと共に、ガラスケースに入った五月人形や甲冑がたくさん並んでいるのを、皆さんも似たことがあると思います。
定番は、強くたくましい男の子になるように、と金太郎や桃太郎、弁慶などにあやかった人形や、鎌倉時代に流行ったという鍬形龍頭を象った兜と鎧など(源義経がモデルといわれています)。
しかし、最近は戦国武将をモデルとした甲冑が人気です。
売れ筋は、伊達政宗、徳川家康、上杉謙信、直江兼続など。地元の武将がダントツ人気でしょうが、全国的には伊達政宗が一番人気です。
人気武将の兜、それぞれの意味は
伊達政宗
隻眼の武将、独眼竜政宗こと、伊達政宗。オシャレで個性的な男性を意味する「伊達男」の語源となった伊達政宗の兜は、金の弦月がトレードマークです。半月輪とも言い、真言密教の胎剛界をイメージしたものです。
そして、政宗の旗指物は日輪という金剛界を象ったものですので、政宗は真言密教胎・金両部の加護を願ったもの思われます。
徳川家康
300年近くも続いた太平の世の礎を築いた徳川家康の兜は、シダの葉をモチーフとしています。シダは常緑で枯れないので、繁栄と長寿を表していて、お正月の飾りや縁起物としても用いられています。
上杉謙信
義侠心溢れた人柄で自らが「毘沙門天退の化身」となり、勝手な私心で領土を侵略する悪鬼と戦ったとされる、上杉謙信の兜は「日輪三日月」前立が印象的です。高野山で修行をするほど信心深く、勇猛果敢かつ、領民を大切にした名君と言われています。
直江兼続
直江兼続の兜は「愛」の文字の前立で有名です。「愛」の文字の意味は「愛染明王」または「愛宕権現」どちらかと言われ、両説いまだはっきりした決着はついていないようです。
しかし、愛染明王も愛宕権現も怒れる神として名高い「軍神」なので、けっしてラブの意味の愛ではないということのようです。

まとめ
さまざまな意味がある戦国武将の兜。
知れば知るほど奥深く、「勝利」への執念が伝わってきます。