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伝説の美人 小野小町の晩年はどんな生活だった!?

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花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

長雨に色褪せてゆく桜の花を、かつて美しく咲き誇ったはずの自身の美貌とを重ね合わせ、過ぎ行く月日の残酷さを歌った佳作です。

この歌を作った『小野小町』は、九世紀ごろ、平安時代に活躍した女性歌人で、絶世の美女とされています。

そんな小野小町の一生は、けっして華やかなものではなかったと、悲しく壮絶で落魄した人生だったと、そう伝えられています。

小野小町の晩年の姿と、小町伝説の残る土地に思いを馳せてみましょう。

小野小町の出自

日本史上で有名な小野姓を持つ人物と言えば、遣隋使として有名な「小野妹子」でしょうか。それとも、夜な夜な井戸から地獄に降りて閻魔さまの補佐を務めていたという「小野篁」でしょうか。

実はどちらも小野小町とは同氏になります。飛鳥時代の小野妹子の子孫であり、小野篁の孫で、三蹟の一人小野道風のいとこが、小野小町とされています。

ただし、出自は不明とする文献もありますので、議論の余地も残っていそうです。

誕生地として伝わっているものは、秋田県湯沢市小野をはじめ、山形県酒田市周辺、京都府山科区、福井県越前市、福島県小野町、熊本県熊本市北区植木町小野、神奈川県厚木市小野と、日本各地に点在してします。

また、終焉の地と墓所も各地にあり、どれが本当なのかも良く分かっていないのが現状です。

この誕生地と終焉の地がたくさんあること。これが小野小町伝説の大きな特徴の一つと言えます。

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小野小町の晩年

小野小町の伝説で有名なのは、深草少将との悲恋物語『百夜通い』でしょう。

ふとしたきっかけで小町を見初めた深草少将に、執拗に迫られ辟易した小町は、深草少将へ「百日百夜、私の屋敷へ一日も休まず通ってこれたら、あなたの思いを聞き届けましょう」と条件を出します。

きらびやかで華やかな、戯れの恋歌などが飛び交う貴族文化の中、本当の愛とは何かを探していたのかもしれません。はたして深草少将は試されることになりました。

めげることなく通い続けた深草少将はしかし、雪の降りしきる九十九日目の夜、体調を崩して小町への屋敷にたどり着く前に亡くなってしまいました。

一方の小町は、本当に何日も何日も通い続けてくれる深草少将に、心を許し始めていました。九十九日、満願まではあと一日あるけれど小町は深草の少将を会うことを決意します。当時、会うということはすなわち結ばれること。

しかし、待てど暮らせど深草少将はやって来ませんでした。

この伝説を含め、情熱的な恋の歌を歌いながらも誰とも添うことの無かった小町は、

「熱心に思いをかけてくれる人にも冷たくして、小町は美貌を鼻にかけた、いけ好かない女だった」という話に発展していきます。

そればかりか、美しかった容姿は歳を取るにつれ衰え、恋の妄執にとらわれた小町は最期には妖に変化した、なんて恐ろしい伝説も残っています。

平康頼著とされる鎌倉時代の説話集『宝物集(ほうぶつしゅう)』には、年老いた小町の哀愁が書かれています。

着る物なくして、蓑を衾(ふすま)と頼み、敷ける物なくて藁後もをもて畳とせり。(中略)昔、色を好み、人に愛されし事を思ひ出して、涙の雨を降らさずといふ事なし。

また、没したとされる各地で残る老小町像は、老い、あばらが出るほど痩せこけ、眼窩はくぼみシワだらけと、けっして裕福で幸せそうな晩年の小町の姿を描いたものはほとんどありません。

諸行無常の世界観

『諸行無常』とは。

頭では分かっているけれど、なんて心で受け入れ難い言葉なんだろうといつも思います。

小野小町のエピソードを見ると、若さと老い、美貌と老醜、華やかさと零落、といった対極に位置するものの落差の大きさに驚かされます。

このままでいれると思っていた、でもそうじゃなかった・・・そんな思いは千二百年前の人だって、感じていたことが良く分かりますね。

また、その落差が大きければ大きいほど、伝説はよりドラマチックになります。派手な傷ではなく、ひっかき傷のようにじくじくとした「居心地の悪さ」を感じる傷を、人の心に残すのでしょう。

小野小町を題材とした、芸能や読み物が今でも人気なのは、見る人のひっかき傷を期せずして刺激してしまうからに他なりません。

艶やかな恋の歌で有名だった小野小町の、辞世の句とされる歌は、次の通りです。壮絶なその人生の悲しさを物語っています。

吾れ死ねば 焼くな埋むるな 野にさらせ 痩せたる犬の 腹を肥やせや

北村美佳子

投稿者プロフィール

いにしえに想いを馳せて、一人涙し、一人ニヤつく。そんな日本史をこよなく愛するライター。重度の活字中毒でもある。愛読書は梅原猛氏の本。
日本史が好き過ぎて、記事を書きながら悶絶することも多々あるけれど、いくつになっても好きなものは好きだと言える女でいたい、そう願って邁進中であります。

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