変装の名人 桂小五郎はどんな格好をしていた!?
1864年に蛤御門の変(禁門の変)を起こした長州藩は幕府に追われる身となりました。
それは長州藩のリーダー的存在である桂小五郎ならなおのことで、幕府の追手から逃れるため変装をも行ったといわれています。
漫画『銀魂』には桂小五郎をモデルにした桂小太郎というキャラクターが登場しますが、彼もまた「ヅラ子」「宇宙キャプテンカツーラ」「家政婦エヅラ子」など様々な姿に変装しています。
では、実際の桂の変装というのはどんなものだったのでしょうか。
変装は忍術!?
変装というとぱっと見て誰かわからないほどに変わってしまうというイメージがあると思います。それこそ顔にマスクを被って別人に化けるイメージです。
日本では変装は戦国時代、忍者がスパイ活動を行うために行ったことが知られています。
江戸時代に書かれた忍術書『正忍記』には変装の方法が説明されているページもあり、虚無僧や僧侶、山伏、承認や大道芸人に変装していたようです。
乞食に変装、女装も?
桂が乞食に変装し、三条大橋の下に一間四方の掘立小屋に隠れていたという話が一番有名です。
禁門の変で市街戦が行われたことが原因で、当時の京には多数の難民が道や橋の下に溢れていました。こうした人々に紛れるためだったのでしょう。
しかし、白くて清潔なふんどしが周囲の乞食に見つかり、指摘されてしまったなんて話もあります。
女装もしたと言われていますが、175㎝近くもある高身長で、剣術にも長けて筋肉質ながっちり体型の桂が、どんなに化粧をしたとしても女性に変装するのは難しかったでしょうから、せいぜい女物の手ぬぐいで顔を隠す程度のものだったのではないかと考えられているようです。
そういえば、冒頭で触れた『銀魂』の桂小太郎はよく虚無僧の格好をしています。虚無僧というのは手に尺八を持ち、「天蓋」とよばれる編み笠を被っているのが特徴です。これにより怪しまれずに顔を隠すことができますし、また万が一怪しまれたとしても天蓋をとらなくてもいいという特権がありましたので、変装するにはもってこいでした。
時代劇なんかでも、正体を隠すため虚無僧に変装し、暗殺を行う姿がよく描かれています。
変装を楽しんだ江戸の人々
江戸時代というのは身分が重んじられた時代だったため、人々は変装をすることで他の身分を装うこともあったようです。
今の時期でいえば、桜が咲き乱れお花見の季節ですが、武士は町人に交じって堂々とお花見を楽しむことができなかったようです。そのため、わざわざ町人に変装してまでお花見に行ったとか。
桂のように殺伐とした中で生きるか死ぬかの変装もありますが、人生をより謳歌するために江戸の人々は変装さえも楽しんでいたのではないでしょうか。