来年のNHK大河ドラマの主人公は吉田松陰の妹、文です。文の夫は、久坂玄瑞ですが、二人の間には子供がいませんでした。
しかし、運命は異なもので、久坂家は存続しています。それは何故なのか…詳しくは読んで下さい。
久坂の愛人、勤皇芸者 井筒タツ
井筒タツは、京都の町医者の娘で芸者をしていました。尊王攘夷運動で京都にいた久坂は、このタツと親しくなりやがて、二人は恋仲になります。そして、この事は故郷の文は知りませんでした。
久坂の自決後に生まれた、運命の息子
かくして、自然のなりゆきでタツは身ごもります。ところが時代は風雲急を告げており、久坂は禁門の変を引き起こして、会津・薩摩連合軍と交戦して敗れ自決してしまいます。
我が子の顔を見られなかった最期でした。それから、たった2か月後、久坂の息子秀次郎は誕生します。
藩に息子の認知を求めた井筒タツ
明治2年10月の事、事態は動き始めます。井筒タツは、それまで隠していた秀次郎の事を久坂玄瑞の息子として萩藩に届けたのです。それを調べたのは、久坂をよく知る松下村塾の同門品川弥二郎でした。
品川は、秀次郎の顔が久坂に似ていると判断して秀次郎を久坂家の跡取りとして認知します。それ以外の証拠は何一つないのですから、それは相当に容貌が酷似していたのでしょうか?
文に知らされた、秀次郎の衝撃!!
久坂が死亡した後、文は、姉の家から養子、粂次郎を入れて久坂の家を必死に守っていました。それが、突然、自分の知らない所で久坂の隠し子が家督を継いだのです。
文の心中は、相当に複雑だったのではないでしょうか?
平凡なサラリーマンとして生きた久坂秀次郎
お払い箱になった養子の粂次郎は実家に戻ります。文も、生家の杉家へ戻りますが、ここで更なる転機が起こります。何と、文の姉ヒサが亡くなり文に後妻に入るように申し入れがあったのです。文はこれを承諾し、実家に戻っていた粂次郎の母になるのです。
一度は別れた養子と継母が再び巡り合うという運命の不思議でした。薄幸だった文ですが、再婚した夫、楫取素彦は有能な政治家でした。
トントン拍子に出世し、文は男爵夫人としてセレブの仲間入りを果たします。そして、79歳で波乱の生涯を閉じました。
一方、久坂家を継いだ久坂秀次郎は品川弥次郎のヒキもあり、平凡なサラリーマンとして明治、大正、昭和を生き抜き、昭和7年に67歳でこの世を去りました。
かくして、尊王攘夷の志士、久坂玄瑞の血筋は今まで続いているのでした。