乃木希典の肉声が現在でも聴ける! 録音の経緯に迫る!
日露戦争における旅順攻囲戦の指揮や、明治天皇の崩御に伴い殉死したことでも知られる陸軍大将・乃木希典(1849~1912年)。
そんな彼の肉声が現在にも残されているそうです。肉声を収録したきっかけは何だったのでしょうか。
そしてどんな言葉を話しているのでしょうか。その辺を詳しく見ていこうと思います。
肉声音録のきっかけと言葉
乃木将軍は加藤清正(秀吉に仕え明智光秀や柴田勝家を倒し「賤ヶ岳の七本槍」と称せられた武将。不敗の伝説により日本陸軍は大陸出兵の精神的支柱としてこの加藤清正を神と崇めた)をとても崇拝していました。
加藤清正の没後300年にあたる1910年、陸軍の親睦組織である偕行社でこの加藤清正に関する親睦会が行われました。
その出席者であり、乃木と知遇のあった湯地丈雄が、息子の敬吾が作成した蓄音機に一言でいいから声を吹き込んでほしいと乃木に頼んだそうです。
乃木これに対して「ほぅ、それは面白い。皆さんと一緒に吹き込もうではないか」と快諾したそうです。
そして、三上参次文学博士の紹介に次いで、「私は乃木希典であります」と吹き込まれたそうです。この音声は1930年に相談会の出席者でもあった小笠原長生の解説をつけて「乃木将軍の肉声と其憶出(乃木将軍の肉声)」として発売されたそうです。またこの音声は現在はYouTubeでも聞くことができます。
ちなみにこの肉声録音に先立つ1909年10月15日には湯地敬吾は乃木の演説を録音しようと挑戦しましたが、この時の録音の復元は試みられたものの、結局は再生不可能であったそうです。
その他の歴史的有名人の肉声
乃木の他にも多くの歴史的有名人の肉声が残されています。例えば明治・大正期の女流作家であった与謝野晶子。
彼女が短歌を詠む声がこちらで聴くことができます。
また阿部定事件で有名な芸妓の阿部定が事件を語っている音声がこちらで聴くことができます。
さらに乃木将軍と同じく日露戦争で活躍した海軍大将・東郷平八郎の肉声も現代に残っています。
さらに大隈重信や斎藤茂吉、川端康成など教科書に載っているような歴史の有名人の声も現代に残っており、聴くことができます。
こうやって肉声を聞くと、すでに亡くなって百年近く経つ人たちでも不思議と何か親近感を感じますね。