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真珠湾攻撃の戦果は日本軍にとって不満だった!

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真珠湾攻撃で日本軍はアメリカ軍に甚大な損害を与えました。

この戦果は日本軍にとって期待したものだったのか考えてみたいと思います。

アメリカ軍の損害

アメリカ軍の受けた被害は戦艦などの艦船と飛行場などに集中し、その被害の大きさに比べて、艦船乗組員の多くは上陸していたため人的被害は大きくなかったといいます。乗艦を失った乗組員の多くは、新たに建造された空母へと配置転換されました。また、追加的な攻撃もなされなく、乾ドックなど港湾施設の損害も少なかったことから、沈んだ戦艦の再生など被害からの復旧の助けとなりました。

大本営海軍報道部は、米戦艦5隻撃沈・3隻大破修理不能と大本営発表を行いましたが、沈んだ戦艦8隻のうち6隻は後に引き揚げられ復帰しており、最終的にアメリカ軍が失った戦艦は2隻でした。太平洋戦争中この時以外でアメリカ戦艦の喪失はありません。

また、空母「エンタープライズ」「レキシントン」は真珠湾外で航空機輸送任務に従事していたため無傷で、残る空母「サラトガ」「ホーネット」「ヨークタウン」「ワスプ」「レンジャー」も西海岸または大西洋配置で日本軍が撃沈できる可能性は皆無だったので、これらの空母はその後の作戦において大きな力を発揮しました。攻撃目標に含まれていた主力空母2隻を撃沈できなかったことは、緒戦でアメリカ軍が持ちこたえる原動力となり、日本軍の短期決戦戦略が頓挫する一因となりました。

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大本営の空母撃沈発表

しかし大本営海軍報道部はこの真珠湾攻撃において日本軍潜水艦が「エンタープライズ」を不確実ながら沈めたと発表しています。このことは真珠湾攻撃が日本軍にとって期待した戦果が挙がらなかったことを示していると私は考えています。

機動部隊は連合艦隊に対し、「主力艦2隻轟沈、4隻大破、巡洋艦4隻大破」との無電を送っているものの、その中には「空母」の被害報告は含まれていません。さらに言えば、攻撃直後に各空母の攻撃隊が敵艦戦に与えた損害を

  • 赤城:水平爆撃隊が戦艦に命中4以上、雷撃隊は戦艦3に対し命中11本。急降下爆撃隊は戦艦に命中、オマハ型に命中1。
  • 加賀:水平爆撃隊がアリゾナ、カリフォルニア、メリーランドに計4発以上、雷撃隊はアリゾナ、テネシーに各4本命中。急降下爆撃隊はカリフォルニア型を含む戦艦3隻に相当数命中と推察。
  • 蒼龍・飛龍:総合して水平爆撃隊は戦艦に1発命中轟沈、戦艦に2発命中大爆発轟沈、雷撃隊は戦艦3隻に合計11本命中、内1隻轟沈(水平爆撃隊と重複)、重巡に3本命中。急降下爆撃隊は軽巡2に合計5発、入渠中駆逐艦に命中1。
  • 翔鶴・瑞鶴:飛行場攻撃に専念しており艦艇への戦果なし。

と報告しており、やはりここにも「空母」の被害報告はありません。つまり、現場からの報告の時点で偽りがあったのでも大本営が誤った情報を得たのでもなく、大本営が国民に発表する際に「空母」の被害を付け加え虚偽の発表を行ったと考えられます。

なぜ虚偽の発表を行ったのか。

それは真珠湾攻撃が「空母」の撃沈も目的の一つとしており、日本軍が「戦艦」への被害に加え「空母」に被害を与えることをも重要視していたからにほかならないと考えられます。

 

空母を重視していた山本五十六

真珠湾攻撃計画のトップにいた連合艦隊司令長官・山本五十六海軍大将は、海軍内の大鑑巨砲主義をよそに、航空優先の軍備を進めた人物です。1930年(昭和5)には、海軍航空本部技術部長に配属され、航空機工業の充実と新機種の開発を行いました。その後も1933年(昭和8)に第一航空戦隊司令官、1935年(昭和10)に海軍航空本部長に就任しています。

山本は、「国防の主力は航空機である。海上の船舶はその補助である。」と主張し、「飛行機の攻撃力が威力を増大するはずだから、今後の戦闘では、戦艦は無用の長物になる」という持論を展開しています。

それほどの人物が敵国の航空機、さらには空母を軽視するとは考えにくいでしょう。真珠湾攻撃の際に空母が不在だったことは、山本にとって想定外の出来事であったし、太平洋戦争開戦前より、敵の空母部隊が日本を航空攻撃した場合、国内へ物質的な打撃だけでなく精神的な打撃が大きいと考えていたことからも、今回空母を沈めることができなかったことは大きな誤算であったはずです。

山本にとっては戦艦4隻よりも空母1隻の損害のほうがずっと大きな戦果だったのではないでしょうか。

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