火縄銃の射程距離はどれくらい? 合戦での使い方は
火縄銃が戦に導入されたことで、戦国大名たちは競うようにこれを買い求めましたが、そんなに欲しくなってしまうほどすごい威力を持っていたのでしょうか?
だとしたら、それは当時の感覚でどれくらいすごいのか、知りたいですよね。
それでは、火縄銃の性能について紹介していきます。
火縄銃の持つ能力
火縄銃の射程距離については、50mから200mと資料や文献でバラバラです。しかし、50mの距離から撃って鎧を貫通した実験があるため、殺傷能力は50mでしょう。有効射程距離としては200mということになるならば頷けます。
どのくらいの威力なのかを確かめるために、実際に実験を行った人たちもいます。
雑誌「歴史群像」の編集部と日本前装銃射撃連盟会長・小野尾正治氏が2005年に行った射撃実験では、厚さ1mmの鉄板を貫通し、2mmの鉄板に対しては、内側にめくれるほどにめり込みました。
また、実際に鎧をアメリカに持ち込んで射撃実験を行った人もいますが、先にも述べたように、50mの距離から撃って鎧を貫通させた実績があります。そのときに計測した弾丸の初速は480m/sで、拳銃よりも速かったのです。
火縄銃は現代の小銃や散弾銃より口径が大きく、弾丸は鉛でできており、命中してから散弾銃の弾のように分かれることもあるので、殺傷能力はさらに高まったことでしょう。ですから、戦国大名がこぞって導入したのもわかります。
戦における火縄銃の運用
火縄銃は、戦が始まって間もないときに使用したり、突進してくる敵に対して一斉射撃を行うのに主に用いられました。
当時は足軽の主要な武器であり、20人から50人程度で編成された鉄砲組が各部隊にいたのです。
また、射撃の方法にもいくつかありました。
二段撃ち
前列が立膝の姿勢で撃ち、後列が立って撃つという撃ち方です。
織田信長に仕えた戦国大名佐々成政(さっさなりまさ)が考案したと言われていますが、これは伝聞の域を出ません。
三段撃ち
発射までに時間がかかるため、前列・中列・後列でローテーションするようにして撃つやり方です。
長篠の戦いにおいて織田軍が用いた戦法と伝わっていますが、実はそれに言及した歴史的資料がないため、疑問視されてもいます。
繰り出し
三弾撃ちの仕組みで前進していく戦法です。関ヶ原の戦いで島津氏が用いました。

By: Ryo Chijiiwa
まとめ
一発当ててしまえば相手の動きを確実に止められるのが、火縄銃でした。
ただ、もし外してしまうとあっという間に相手に距離を詰められやられてしまいます。だから隊列を組む必要があったんですね。そして、一斉射撃でないと、その殺傷能力を十分に発揮できなかったのでしょう。
もし、熟練した狙撃手がいたならば、それはもう恐ろしい武器だったことでしょうね。