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豊臣秀頼の子 国松の生涯

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正室・千姫との間に子がなかった豊臣秀頼ですが、側室・伊茶との間に国松という男子がいました。

国松とはどういう人物だったのでしょうか。

国松の誕生

国松は慶長13年(1608)、側室・伊茶の子として生まれました。

側室・伊茶は伊勢(現在の三重県)出身の女中であるとする説、小田原北条家の家臣である成田五兵衛の娘とする説、渡辺五兵衛の娘とする説など諸説あります。

秀頼念願の男子の誕生ではありましたが、生後すぐに若狭(現在の福井県南部)の京極家に預けられ、乳母の兄の養子となりました。

前で触れたように伊茶の身分はそれほど高いものではなく、家康の孫で秀忠の娘である千姫とは比べものにならないものだったため、子の生まれない千姫をはばかってのことだったと考えられています。

なぜ、若狭京極家だったかというと、そこが伯母・常高院の嫁ぎ先だったからです。

常高院というのは本名を浅井初といい、秀頼の母・淀殿(茶々)の妹に当たる人物です。そのことを考えれば、国松が城を出ることは、淀殿の意向があったのかもしれません。

そこには、千姫を通して男児の誕生を家康に知られまいとする淀殿の策略があったとも考えられます。

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秀勝を名乗らせた背景には?

国松が生まれて初めて父・秀頼と対面したのは大坂冬の陣のときでした。

8歳になった国松は元服を済ませ、秀勝と名乗っていたそうです。

生まれてすぐ秀頼から離されたため、豊臣家とは縁もゆかりもないようにして育っていたのかと思われますが、この名前を見る限りそうではなかったことが想像されます。

そもそも「秀」というのは「秀吉」「秀頼」と豊臣家が代々(代々といっても二人しかいませんが)受け継いできた通字です。

さらに、「秀勝」という名前もまた意味深です。

秀吉のまわりには「秀勝」という名前の人物が三人いました。

一人は秀吉の姉の次男で、秀吉の養子となった小吉秀勝。二人目は織田信長の四男で秀吉の養子となった於次丸秀勝。三人目は秀吉が長浜城主時代にもうけた実子といわれる石松丸秀勝です。

石松丸は秀吉の初めての男児であり、「秀勝」という名前は「羽柴」と同じく、丹羽長秀の「秀」と柴田勝家の「勝」の字ををいただいたものと考えられています。

そうした由緒正しき名前を諱としていることを踏まえれば、国松がいざというときには秀頼の継嗣として再び大坂城に迎えられる可能性もあったのではないかと思われるのです。

家康は国松の存在を知らなかった?

冬の陣の和睦後、一時の間を父・秀頼や祖母・淀殿と一つ屋根の下で暮らした国松でしたが、翌年に夏の陣が勃発。敗北を悟った秀頼は国松と盃を交わした後、田中六郎左衛門と乳母と共に国松を城外に逃がしました。

国松が父と過ごした時間は半年にも満たないものだったのです。

しかし、この時家康は国松の存在を知らなかったと考えられています。

家康が国松の存在に気付いたのは、同じく大坂城落城の際に城から脱出した秀頼の娘・天秀尼が京極忠高に発見された後のことでした。

同時代の日記『駿府記』の5月12日条に、天秀尼を発見し捕まえ尋ねたところ、秀頼に男子があることを聞いたので、急いで探させたという趣旨のことが記されています。

大坂城を落とせば豊臣家は滅亡すると思っていた家康はさぞ驚いたことでしょう。

市中引き回しの後、斬首

城を出た国松は伏見に潜伏していましたが、徳川方の捜索により京都所司代・板倉勝重のもとに連行されました。

5月23日、市中車引き回しの後、六条河原で田中六郎左衛門、長宗我部盛親と共に斬首されました。そのとき8歳という幼少でした。

市中引き回しというのは、死刑囚を馬または車に乗せ、罪状を描いた捨札などと共に刑場まで公開で連行していくという制度です。

知名度の高い罪人が処される時にはさながら見世物と化していたといわれていますから、秀頼の息子である国松にも好奇の目が向けられていたかもしれません。

その遺骸は常高院の夫・高次の姉の京極龍子が引き取り、供養したといわれています。

何も知らずに育てられ、ある日突然自分は天下人の息子だと知らされる。。。国松も一度は自らが天下人となる夢を見たかもしれません。

しかし、その境遇故に幼くして斬首されてしまったことを思うと、知らなかったほうが幸せだったかもしれないと思ってしまいます。

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