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武田軍師 山本勘助は実在の人物!? その存在の真偽に迫る!

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山本勘助はなんとも謎多き武将です。武田信玄が見出した名軍師と言われ、江戸時代には絶大な人気を誇った、いわゆる歴史上の偉人でした。

けれども、一次史料が極端に少なかった影響もあり、明治期以降には、実在しない架空の人物とみなされていたことも。本当のところはどうだったんでしょうね。

近年になって新たな史料も発見されたと言われますので、見ていくことにしましょう。

『甲陽軍鑑』に見られる活躍が江戸時代の人気の秘密

山本勘助という人物がもっとも大きく取り上げられているのは、江戸時代初期に広く読まれた軍学書『甲陽軍鑑』です。

江戸幕府成立時には戦国大名・甲斐武田家は滅亡していましたが、徳川家康が武田の遺臣を多く召し抱えていため、武田の戦術も江戸期に甲州流軍学と呼ばれて流行します。

『甲陽軍鑑』は戦国時代に武田家で活躍した春日虎綱の口述を筆写したもので、その由来と内容の充実から甲州流軍学の聖典のような扱いを受けていた書物です。「『甲陽軍鑑』を読み込んでおけば、甲州流軍学の知識はカンペキ!」みたいな位置づけだったんですね。

その中に鮮やかな活躍が描かれていた人物が山本勘助でした。今川義元の討死を予言したり、川中島の合戦で啄木鳥戦法なるものを提案するドラマチックな軍師山本勘助は、江戸時代の武士の心を捉えます。

その姿は講談や浄瑠璃などにも取り上げられて、やがて一般庶民にも勘助人気が広まることに。そしていつしか、智略に長け築城の名手で名軍師という、この不思議な武将の伝承が甲斐・信濃・駿遠を中心とした各地に根づいていくのです。

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明治期の『甲陽軍鑑』評価の急降下とともに、山本勘助の実在も疑問視される

ところが、明治維新による西洋文明の流入によって、日本の歴史学にも実証主義が浸透します。もともと、江戸期から『甲陽軍鑑』には、年代の誤記や合戦の詳細などに事実との食い違いがあると指摘されていました。

それが明治期には歴史学者により致命的な欠陥とされ、軍鑑は江戸時代の人物が考証もずさんなまま執筆したものだとして、史料的価値を否定されてしまうのです。それに伴い”史料はほぼ『甲陽軍鑑』のみ”だった山本勘助も、その実在が疑問視されるようになりました。

1954年には、勘助は完全に架空の人物だったという説が唱えられます。

その一方、井上靖の『風林火山』、新田次郎の『武田信玄』などの小説では、山本勘助がとても個性的で魅力のある人物として描かれるのです。この2作はNHKの大河ドラマでも取り上げられていますので、視聴されていた方も多いのではないでしょうか。

でもこういった文学作品も、なまじそのインパクトが強いために、山本勘助は実在していたというイメージをなんとなく下げていたかもしれません。

新しい一次史料の発見と『甲陽軍鑑』の再評価で、勘助実在説にも再び光が

1969年、そして2008年~2009年に、武田家臣とみられる武士”山本菅助”や”山本菅介”の名前が記された戦国時代の文書が新たに発見されます。1969年のものは『市河家文書』、2008年のものは『真下家所蔵文書』、2009年のものは『沼津山本家文書』と呼ばれ、それぞれ一次史料としての信憑性も裏付けられました。

また、1990年には国語学者の研究によって、『甲陽軍鑑』の言葉遣いは室町時代末期(=戦国期)のものであり、江戸時代の人には書けない文体だと指摘されます。この研究で『甲陽軍鑑』の史料価値も大幅に見直されることになりました。

こうした文書の研究により、現在では、やはり山本勘助(菅助)は実在していたという説が主流となっています。

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実在した山本菅助はどんな人物だった!?

ただ、実在していたという山本菅助について、イメージされていた謎めいた軍師という人物像を裏付ける記述はないようです。

『甲陽軍鑑』に記載があるように、武田家で足軽大将を務めていたことは確実視されていますが。それ以外の点についてはまだまだ、今後研究が進んでくれることを祈るばかりという感じでしょうか。

人気が高かったために今まで創作作品が多く作られて、すっかり虚実入り混じった山本勘助像が出来上がっていますからね。

個人的には、武田の領地に独特な築城術、”丸馬出(まるうまだし)”などが大好きなので、彼の築城に関する実績が明らかになれば良いなと願っています。

まあ、こうやって待つのも、歴史のロマンを味わう面白さのひとつなのかもしれません。

ナカガワ マスミ

投稿者プロフィール

戦国時代から昭和史まで、歴史には幅広く興味を持ち、色々調べ出したら止まりません。
合戦の話も好きですが、文化史が特に好き。そういう意味では平安中~後期も愛していますね。
皆様にも是非「歴史って面白いんだ!」と思って頂きたいと思いながら、記事を書いています。応援よろしくお願いします。

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